ときに水面を眺めながら

そんなに美しくもないし優しくもない人生

働く私に、ロベルタのバッグ

バッグを買いました。

田舎暮らし・節約暮らしの私には「もったいないかな」と思うような、上質な仕立てのブランドバッグ。
これはバッグを買うまで迷いに迷った、平凡な私の忘備録です。

 

働く私に、ロベルタのバッグ

普段は仕事もプライベートも身軽に動きたいから
カジュアルに持てる軽いナイロン素材のリュックやショルダーが、やっぱり便利。

だって、バッグは道具入れ。
荷物を詰め込んでパンパンになっても、汚れても濡れても大丈夫。
そんな気軽さが気に入っていたのです。

しかし、気づけば私も40代後半。
ある日、汚れて擦り切れたリュックを見ながら、突然思い立ったんです。
そろそろ、どこに持ち歩いても恥ずかしくない素敵なバッグが欲しい!って。

貫禄も迫力も贅肉もついたミドル世代が持つとなれば、やっぱりハイブランド一択でしょう。

若い頃はブランドに興味が無さ過ぎて、その良さが分からなかったけど、私も大人になったから大丈夫。
おカネも少し貯めたしね。

…なんて思いながらパソコンを開いて、すぐにパソコン閉じましたね。(お値段に敗北しましたね)

いや、違うのだ。
思えば、私はバッグが欲しいだけで、ハイブランドが欲しいわけじゃない。
(負け惜しみ的な)
仕事の荷物が全部入る・毎日タフに使える・オシャレで地に足のついた値段のバッグが欲しいのだ。

そこで、突然ふと思い出したのがブランド「ロベルタ ディ カメリーノ」
イタリアの女性が戦後の物不足のなかで立ち上げた、バッグ・ブランドです。

戦後、男女格差の厳しい社会で強く生きる女性たちを傍で支え、いつも励まし続けたバッグこそ、この「ロベルタ」。
華やかでもユーモアは忘れない、美しく個性的なバッグは、ときの女王モナコ王妃グレース・ケリーにも愛されたのだとか。

そのドラマチックな物語を紹介するには時間が足りないので割愛するけれど、ブランドロゴ「R」が必ずバッグにあしらわれていることで有名です。

もともと落ち着いたデザインが多く、私の中では年配向け・年寄り臭いイメージが大きかったロベルタですが、
なにしろ最近では私の年齢がロベルタに追いついてしまったらしい。

2023年、久しぶりに見たロベルタのバッグたちは、革の質感・デザイン・サイズ、どれも品が良くて素敵。すぐに気に入ってしまった。

 

そして、1つのバッグが私のハートを鷲掴みに。
それは創業デザイナー:ジュリアーナ・カメリーノが愛用していたという「TOKYO」という名のバッグ。

「ああ、このバッグなら」と思った理由は、形とサイズ感。

スマホタブレット用のキーボード、カメラ、筆記用具から、財布や折りたたみ傘、発作用の薬を持ち歩くためのポーチや小さめの水筒ボトルまで、必要なものが全部入っちゃうのです。

さらに、少し背伸びすれば手が届く価格なのも嬉しい。
1週間、悩みに悩んで買いました。(買っちゃった!)

革はとてもいい手触りで仕立ても上質。バッグは軽く、自立します。

A4サイズの書類は入らないけど、深さのあるバッグと違ってバッグの中をかき回さなくても一目で欲しいものが見つかる・パッと手に取れるのが今の私には嬉しい。
(それに最近はデーターでやり取りしているから、書類なんて持ち歩かないしね)

あと「ファスナー」も大事なポイント。

私は過去、背後に不自然にピッタリとついてくる人にスリの気配を感じたことがあるので、狙われにくいように『サッと手を挿し込めないバッグ』を選ぶようになりました。
(今思えば、遠くからATMを見張っていて狙われたんだと思う)

中央ファスナーのチャームは、バッグ内に落ち込んで開けづらいというレビューがあったのだけど、ナルホド、確かにそのとおり。
しかし、あのジュリアーナ・カメリーノがデザインしたのだから、きっとこれにも何か理由があるはず。
(と思うことにした)

チャームも可愛い

バッグにかける値段は人それぞれだと思うけど、湿気の多い日本では「使わないまま押し入れにしまい込んだ」革製品の寿命は思っている以上に短いもの。
少しもったいない気もするけど、これから大事に・しっかり使っていきたいのです。

それに
働く私にとって、やっぱりバッグは道具入れだから。

とても背伸びして買ったバッグだけど
5年後に、この品格のバッグにふさわしい大人になっているように頑張ろうと思う。

波乱の時代に、凛と背筋を伸ばして生きたジュリアーナ・カメリーノのように。